ヘルペスとは

ヘルペスイメージ

単純ヘルペスウイルスⅠ型またはⅡ型に感染することで発症する性感染症で、主な症状は赤い発疹・皮膚の違和感や痛み・水ぶくれなどとなっています。Ⅰ型は口の周りに、Ⅱ型は性器の周りに症状が出やすく、主にⅡ型によって性器周辺に症状が現れたものを性器ヘルペスと言い、ほとんどが性行為によって感染します。ちなみに口の周りに発症するものは口唇ヘルペスと言います。昔から、Ⅱ型は性器で、Ⅰ型は顔にできると言われましたが、性器ヘルペスの検査は基本的に全例、抗原検査を行っていますが、性器でもⅠ型が普通に見られます。

発生した水ぶくれの中にはウイルスが存在し、感染者との性行為によって接触した皮膚や粘膜に感染しますが、水ぶくれがなくともウイルスを排出するケースもあり、性行為によって感染する場合が在ると考えられています。軽い赤み程度でもウイルス抗原が擦過テストで陽性のことはしばしばあります。

また単純ヘルペスウイルスは、一旦感染すると、神経節細胞にヘルペスウイルスは住み着いて、ほぼ永久的に体内に留まって潜んでおり、免疫ができても体力が低下するなどした時、再発を繰り返すという特徴があります。また症状が出ていない時でも、皮膚表面にウイルスが存在しており、パートナーへの感染の可能性があります。

ヘルペスの症状

単純ヘルペスウイルスに初めて感染した場合、多くの方が無症状で経過していきますが、症状が出る方の場合は、強い症状が出る傾向にあります。2~7日の潜伏期間があり、主な症状としては、男性の場合は亀頭や陰茎体部、女性は外陰部や膣、子宮頚管、膀胱まで小さな水疱(水ぶくれ)や赤いポツポツが出現します。鼠径部のリンパ節が腫れることもあります。

強い痛みやむずがゆさ、ヒリヒリとした感じなどを伴うことが多く、3~5日後に水ぶくれか破裂すると潰瘍になったり糜爛となったりします。女性の場合は排尿時痛から排尿困難になったり、歩行困難になったりする場合もあり、入院が必要になることもあります。治療が遅れると、慢性的な疼痛が残ってしまう場合もあります。

初めて感染したときには無症状で、その後に症状が現れた場合は軽度のことが多くなっていますが、単純ヘルペスウイルスは一度性器に感染すると、骨盤の神経節などに潜伏し、ストレスや体力低下などによって免疫力が低下すると再発します。痛みやかゆみが現れ、性器やその周辺に水疱や爛れなどが現れる場合があります。

ヘルペスの検査

当院では性器ヘルペスが疑われる患者さんに対し、視診はもちろんですが、基本的にすべての症例に対し、病変部の皮膚粘膜におけるヘルペス抗原検査を行うようにしています。これは綿棒で病変部を拭って検体を採取し行うもので、ヘルペスウイルスの1型もしくは2型の抗原の有無を調べる検査です。

陰部の皮膚病辺には、他の疾患に非常に紛らわしい症状が多いため、このヘルペス抗原検出検査を行うことは非常に重要です。その結果、ヘルペス抗原が同定できれば、ほぼ間違いなく性器ヘルペス感染症と診断します。性器ヘルペスだけでなく、口唇ヘルペスや他のヘルペス感染症でもこの検査は行っています。

一方、実際は性器ヘルペスであるにも関わらず、陰性の判定結果が出てしまう、偽陰性というものが一部にあります。これはウイルス量が少ないなどして検査をすり抜けてしまうものです。疑わしい時は2回目の検査を行う場合もあのますし、視診等であきらかにヘルペスの症状が認められる場合は、投薬治療を開始します。この点はご理解をいただいています。

ヘルペスの潜伏期間は、感染の機会があってから2~10日程度とされており、このタイミングで検査を受けることができますので、痛みのある発疹や水疱、陰部の違和感などがありましたら、ご受診ください。

ヘルペスの治療

ヘルペスの治療では、アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬により、 ウイルスの増殖を抑制する薬物治療を行います。通常は5~10日間内服し、重症の場合は点滴による投与を行う場合もあります。軽症の場合は、外用薬の塗布による治療を行います。

ここで注意しなければならないのは、ヘルペスウイルスは一度感染すると人間の神経節に棲みついてしまい、薬物治療によっても完全に排除することができず、潜伏してしまうということです。ヘルペスは完全治癒が非常に難しい疾患の一つなのです。

潜伏したウイルスは、体力の低下や他の性感染症に罹るなどして免疫力の低下した際に、再活性化してしまい、再発を繰り返すことで長年悩まされることになります。再発の頻度や再発率は、初期治療でどのくらいしっかりとウイルス対策をしたかどうかで左右されます。そのため初診時より強力な治療を行い、ウイルスの排除を徹底し、疼痛の管理をしていくことが重要になりますので、早期の受診による治療開始が望まれます。

そうした疾患ですので、予防していくことが重要です。感染後、症状が出ていない状態でも、性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合には、他者に感染する可能性があります。また、初感染から1年程度の間は、再発による皮膚の症状(ピリピリ感や違和感など)がまだ現れない段階でも、それに先んじてヘルペスウイルスが皮膚の病変部に現れることがあります。初感染から1年程度は、皮膚症状が完治している状態でも、感染のリスクがゼロではないため注意する必要があります。性行為(オーラルセックス含む)やキスなどの感染者との接触は、極力避けることが大切です。